高級感と特別感を演出する、「白柄」パッケージの魅力
パッケージでよく見る「白柄」。さまざまな種類がありますが、和紙をモチーフにしたものが基本で和風な印象を持つ方も多いでしょう。なかでも雲流柄は代表的な柄のひとつです。ほどよい透け感と高級感があり、和菓子などで多く使用されています。
今回は白柄の代表的な雲流柄の魅力をお伝えします! なぜ雲流柄が高級に感じるのか、ちょっとだけ深〜く知ると商品パッケージに使いたくなりますよ。
※本記事では「白い柄」や「白い模様」を「白柄」と表記させていただきます。
和紙の柄が好まれる理由
白柄パッケージの多くは和紙の模様が採用されています。それは和紙が読み書きの用途以前に古くから人々の生活に根付いていたからです。その歴史はなんと1400年以上! 諸説ありますが、日本でも作られるようになったのは奈良時代よりも少し前のことだそうです。
和紙の製造工程は難しく、量産できないことから高級品として照明器具や器などの家具や家財道具に使用されたり、祭事などで贈り物を包む特別な紙として使われていました。古くから和紙で物を包むというのは、持ち運ぶという実用面だけではなく、特別感を演出しながら内容物を守り、大切な人に贈るためにあったんですね。
そんな和紙が大衆の手に渡るようになったのは江戸時代に「かわら版」として、娯楽文化の一つになってから。とはいえ、そのタイミングで和紙より安く簡単に量産できる洋紙が入ってきたため洋紙が主流となり、和紙は一般化されず、高級品として残りました。
現在でも和紙を使ったパッケージはもちろんありますが、扱いやすいレーヨン素材のものが主流となり、和紙の温かみと上品さ、高級感を残したまま手軽に包装として使えるようになりました。和紙を見ると自然と高級感を感じてしまうのは、こういった歴史の背景が私たちに根付いているからかもしれませんね。
レーヨン紙と雲流紙のつながり
さて、白柄=和紙、高級感のあるパッケージだということはお分かりいただけたかと思います。また、白柄でよく使われるレーヨンとは一体なんでしょうか。実は両者には木が原料でできているという共通点があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
レーヨン紙
レーヨンは、木を原料として人工的に作り出された化学合成繊維です。シルクの代替品といわれるほど光沢があり、柔らかく滑らかな感触が特徴です。強度も染色性も高く、シルクと同様の特性を持ちながら安価で、化学繊維のなかで最も吸湿性、放湿性に優れています。
そんなレーヨンが配合されたレーヨン紙は、レーヨン特有のしなやかさと発色の良さ、光沢感などを持ち合わせています。薄く透け感のある紙のため、洋服の包装紙や箱詰めの敷紙・掛紙に多く使用されます。
食品やお菓子の包材として使用する際には、フィルムを貼り合わせて機能性を備えた上でパッケージに採用されています。レーヨン繊維を使用して雲流柄を作ることもできます。
ちなみにレーヨン紙はお菓子などのパッケージ以外にも多く使われているんですよ! 障子や壁紙など日本の伝統的な和紙建材、最近では可愛らしくオシャレなマスキングテープ、さらにマスクで使われる不織布など、実は私たちの生活に多く存在しています。
雲流紙
雲流紙は和紙の一種で、雲が流れるような柄を表現した紙です。ほどよい透け感と、繊維がアクセントになっています。紙の風合いから着物や帯などの包装や掛け紙・巻紙に多く使用されており、そこから包装紙としてお酒やお茶、和菓子などにも広く使われるようになりました。
雲流紙がパッケージに広く使われるようになった理由は、前述したようにレーヨンを混合したことにあります。もともと、楮(こうぞ)を原料とし、職人が一枚一枚手漉きでつくりあげる高級な和紙でしたが、現在は楮のかわりレーヨンをベースとして機械でつくられるようになりました。今では気軽に雲流紙を取り入れられるようになり、アクセントに用いるだけで手軽に和の雰囲気を演出することができます。
近年のパッケージ業界では「雲流紙」といっても完全な和紙ではなく、レーヨンが混合したものもが主流になりつつあります。
さらに雲流柄は印刷で表現することも可能です。技術が進んだとはいえ、やはり紙のパッケージはコストもかかります。コストを抑えながらパッケージとして高級感を出したい、雰囲気を出したいという要望から、雲流柄を印刷するという方法も広く使われています。
現代のオシャレな和柄パッケージ
和紙を基調としたデザインの白柄パッケージですが、『鬼滅の刃』の竈門炭治郎で注目を浴びた市松模様など、和柄を使用したものもあります。カラー展開も豊富で、ゴールドなら豪華に、黒はシックにと印象が大きく変わります。
プリント技術が高くなったことで色の表現だけでなく、様々な柄が表現できるため、和柄にとどまらずオシャレなパッケージデザインも増えています。
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和紙が与える高級感を利用して、商品の魅力アップにつなげよう
少し大袈裟かもしれませんが、私たちは長い歴史と共に遺伝子レベルで和紙を無意識に高級品だと認知していることがわかりましたね! 和紙のことをちょっと深〜く知るだけで、白柄パッケージを魅力的に感じてもらえるようになったのではないでしょうか。
このような人間心理が働くからこそ、和紙のパッケージ=和菓子用と決めつけず、洋菓子などにも使ってみるチャレンジをして欲しいです。高級志向で売り出したい洋菓子はあえて雲流紙やレーヨンのパッケージを使ってモダンな印象にする、クリスマスやお正月はパッケージを変えて特別感を出すなど、パッケージで商品を演出できるようになれば、それはもうパッケージで遊べる上級者です。
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